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たなばた

たなばた

【投稿日】 :2016/08/13
【カテゴリ】:スカトロ(大) 便秘 
【あらすじ】:なつ2



出かける準備を済ませた後、栞は部屋のベッドにぐったりと横たわって美羽を待った。
お腹が苦しい。体がだるい。お絵かきも、ゲームもする気になれない。

寝起きの時間が変わったせいか、夏休みに入った途端栞は便秘がちになった。
今日で五日目。普段きちんとお通じがある分、体が辛くなるのも早い。
ずっと出てない、どうしよう、という焦りが心まで弱らせて、栞はだいぶ参っていた。

ぷっ、ぷすー……

「ん……」

臭いおならを出し終わっても、おしりの奥に何かが残っている感じがした。
ウンチしたい、には程遠いが、ちょっとでも出るなら出しておきたい。
トイレに向かおうと体を起こしたところで、階下から声がした。

「栞ちゃーん!美羽ちゃんが迎えに来たわよー!」
「うん、今行く……」

栞はトイレを諦め、そのまま階段を下りて玄関へ進んだ。
出るかどうかもわからないのに、友達を待たせて置くなんてできなかった。

※※※

七夕祭りの夜。
見慣れた商店街の大通りは、一夜限りの魔法にかかっていた。
七夕飾りに彩られた道沿いに出店が並び、その灯りに誘われた人々が通りを埋め尽くす。
はぐれないように手を繋いで、栞と美羽はその中を歩いた。

「うわー、すごい混んでるねー」
周囲の熱気にあてられて、美羽はほっぺたを赤く色づかせていた。
ふだんはできない、夜のお出かけ。食べ物やゲームのお店がたくさん。
特別のおこづかいももらったし、これではしゃぐなというほうが無理がある。
……ついでに言うなら今日の昼、五日ぶりのお通じがあったので
お腹がすっきりして気分がいい。暑いトイレに篭ってうんうん気張った甲斐はあった。

「……うん、そうだね」
対する栞の頬は少し青い。便秘のせいだ。
それでも、気持ちはだいぶ上向いていた。この夜をずっと楽しみにしてきたのだ。

「ねぇねぇ、かき氷食べよっ」
美羽が数軒先の屋台を指差した。
日が落ちたとはいえ夏の最中だし、人ごみに揉まれて蒸し暑い。
普段の栞なら喜んで買いにいくところだが、今日は少し迷った。
お腹が冷えて、ウンチしたくなったらどうしよう。
お通じが来ること自体はいい。というか、来てほしい。
でもこの当たりにまともなトイレがあるかわからないし、
落ち着いてウンチできるとも思えない。

結局、せっかくの七夕祭りを楽しみたい気持ちが不安に勝って、
数分後には二人並んで道端の縁石に座り、かき氷を口に運んでいた。

「しおりちゃん、べろ、出してっ」
「え?うん……」
「あ、レモンの色になってる!みうのも見て!べーっ」
「みうちゃんの舌、まっさおだよ。きゅーけつきみたい」
「きゅーけつきってなに?」
「えっとね……」

ぐ、ぐぐっ

少しの間忘れていられたお腹の具合のことを、栞は再び思いだした。
来た。降りてきた固いものが、おしりをこじ開けようとしている。

「……みうちゃん、トイレ、行ってきていい?」
「いいけど……このへん、あったっけ?」

二人して見回すと、少し先の空き地の隅に仮設トイレが三つ並んでいるのを見つけた。
七夕祭りのために、特別に置かれたのだろう。

「ごめんね、すぐ行ってくるから……!」
「待ってるから、ゆっくりでいいよー」

美羽はそう言ってくれたが、きっと長い時間待つのは退屈なはずだ。
栞はすぐに立ち上がって、トイレまで駆けた。


列に並んで待ち、ようやく番が来て和式便器にしゃがむ頃には、
「出るかも」ははっきりとした「ウンチしたい」に変わっていった。
固いウンチの頭が、ぐいぐいとおしりの穴を押してくる。
苦しかったが、これでやっと出せる、お腹が楽になると思うと嬉しかった。

「んっ……!」
息むのに合わせて、ちいさな蕾がぷくりと膨らむ。
その中心がほころぶ前に息苦しくなって、元の窄まりに戻ってしまう。
したいのに出ない。太くなってしまったウンチがつっかえて、なかなか前に進んでくれない。

「はぁ……はぁ……」
二度、三度気張って頭がくらくらしてきたので、顔を上げて息を整える。
仮設トイレの中は狭く、壁が迫ってくるような感じがした。床も便器も汚い。
あまり長居したい場所ではなかった。なにより、美羽が外で待っている。
栞は足を踏みかえ、膝を握ってさっきよりも強く息んだ。

「うぅ~~んっ!」

ぷちちっ、にちっ

今度は、動いた。蕾が静かに花開き、焦げ茶色のウンチが顔をのぞかせた。
お腹に力をこめるたびに、背中が曲がり、頭が下がっていく。
垂れた髪が汚れた床につきそうになっても、栞は力を抜かなかった。

(やっと、でるっ、あと、ちょっとっ……!)

便秘ウンチとの戦いに夢中になっていた栞は、ノックの音で我に返った。
力が抜け、せっかく出かかった塊がおしりの奥に戻っていく。

(え?え?)
軽いパニックを起こした頭で、ノックの意味を考える。
たぶん、早く出ろと言っているのだろう。
栞がトイレを誰かに急かされたのは、生まれて初めてだった。
一人っ子なので兄弟姉妹とトイレの奪い合いをしたことがないし、
父母は栞の用が終わるまで待っていてくれる。そもそも普段は快便なので、
長時間トイレに篭ることがない。

「ごめんなさい、すぐ、出ますっ」

慌ただしく服を直し、形だけ水を流してトイレを飛び出した。
栞の入っていた個室の前には五人並んでいた。
きっとみんな、いつまでも出てこなかった栞に怒っている。顔を見れず、俯いて足早にその場を離れた。


その後はもう、射的もスーバーボールすくいも全然楽しくなかった。
したいことは一つだけ。ウンチを出したい。その他のことは何もしたくない。
栞が足やおしりを動かすたび、出口近くに挟まった太いウンチの塊が内の壁に触れ、
弱い便意と寒気が全身を伝う。冷や汗が背中を垂れた。
もう、ウンチの事しか考えられない。


「あ、くじ引きだって!しおりちゃんもやろっ」
「……うん(おなかくるしい)」

「うーん、でも300円だし、どうしよっか?」
「……(うんちしたい)」

「……しおりちゃん?」

(きもちわるい)

(うんちしたい)

(うんち)

「しおりちゃん、だいじょーぶ?」
心配した美羽に見つめられているのに気付いて、栞は顔を上げた。
気持ちを口に出そうとした。本当なら、ウンチを出せていたはずだった。
ドアをノックされなければ。美羽が迎えに来るのが、もう少し遅ければ。
でも、ノックした人も、もちろん美羽も恨めなくて、辛い気持ちを吐き出せなくて、

「、っく」

代わりに嗚咽が漏れた。涙がぼろぼろとこぼれた。

「えぇっ!?し、しおりちゃん?」

美羽は混乱した。栞のお腹の事情など知るはずもなく、突然泣き始めた理由がわからない。
それに、普段物静かで大人しい栞が顔を歪めて泣くシーンなんて、想像したこともなかった。

「どうしたの?どっかいたいの?」
自分がされた時の経験を思い出しつつ、おっかなびっくり栞の頭を撫でながら聞く。

「ぐずっ、う、うん、ちっ……」
「うんこしたいの?じゃあ、さっきのトイレに……」
「やだっ、あそこは、ひぐっ、もうやだぁっ……!」
「えー?それじゃあ……」

いつになく幼い言動の栞に戸惑いつつ、美羽は栞の手を引いて歩き出した。
少し離れているが、トイレの場所に心当たりがある。


お祭りの喧騒に背を向けて、静まり返った夜道をしばらく歩いた。
どの道をどう進んだか、栞はよく覚えていない。
気づいたら誰もいない公園の、誰もいないトイレの洋式便座に腰かけていた。
それで十分だった。栞は踏ん張り始めた。

「んっ……!」

ぷすー……

出ない。しばらく我慢しているうちに、またお腹の奥に帰ってしまったようだ。

「しおりちゃん、でそう?」
「ひっこんじゃった、みたい……」
「じゃあ、おまじないしてあげるっ」

美羽は握っていた栞の手を離し、膨らんだお腹に手を当てた。

「しおりちゃんのうんこ出てこーい、出てこーい」
母親が自分にしてくれたのと同じように、呪文を唱えながら丸を描くようにマッサージする。
おまじないは効いた。まずは、溜まっていたおならが押し出され、
便器の空洞に音を響かせた。

ぷすっ……ぶーっ!……ぷぷっ……みちちっ

次もおなら。おなら。そして、ウンチ。
美羽が目の前にいることを思いだしたが、今はとにかくウンチを出したかった。

「くぅ…………うぅ~~ん!」

体を前に倒し、顔を歪め、栞は全力で息んだ。ももの上で、固く握った拳が震える。
今度こそ、逃がすわけにはいかない。
さっき途中まで出しかけたせいか、塊は予想よりも大人しく栞に従った。
ウンチが降下を始める。それを通すため、穴が少しずつ開いていく。
小指の先ほどだったのが、やがて大人の親指の径より大きくなり、
とうとう、待ち望んでいたウンチが顔を出して、

「んっ……ふうぅんっ……!」

出したきり、いくら気張ってもその先に進まない。
五日間の便秘が、ただのウンチを固くて太い栓に変えていた。

「うんこ、出た?」
「だめ……こんなにかたいの、出せないよぅ……!」
「しおりちゃん、息すって。すーって、たくさん」

また泣き出しそうな栞を落ち着かせるように、美羽はその手を両手で包んだ。
栞は何度かしゃくりあげた後、美羽の言葉に従った。

「すーっ……」
「おなかに力いれて、みうといっしょにうーんってして!うぅーん!」
「うぅ~~んっ!!」

みぢっ……ぼちゃん!

涙の粒が滴るのといっしょにゴルフボール大の黒ずんだウンチが転がり落ち、
水たまりに落下した。

「はぁ……はぁ……」
「もういっかい!せーの、うーんっ」
「ううん……っ!」

むりりっ……にちっ……

気張るたびに太短い塊が産み落とされ、池の底に積み重なっていく。
最後の一つがぼとりと落ち、山のてっぺんが水面を越えた。

「ぷはぁ……はぁっ」

肩で息をしながらうつむいたまま、栞は顔を上げられなかった。
きっと、美羽は怒っているだろう。
せっかくの七夕祭りを台無しにした挙句、目の前でウンチまでしてしまった。
このまま消えてしまいたい。視界が再び、じわっと滲んだ。

「おわった?いっぱい出てよかったねー」
だが、美羽から飛び出したのは罵りの言葉ではなかった。顔を上げると、気遣うような笑顔が見えた。
今度は安堵で、どっと涙があふれた。

「ま、まだおなかいたいの?だいじょぶ?」
「ひぐっ、ごめんね……っく、みうちゃん、ごめんねっ……!」
「みうがトイレしてる時も、しおりちゃん待っててくれるでしょ?だから、あいこ!」

話しながら、美羽はペーパーを巻き取って何重かに重ねた。

「ふいてあげるから、おしり出してっ」
「い、いいよ……」

ウンチの事以外を考えられる余裕が出てくると、とたんに今の状況が恥ずかしくなってくる。
なるべく美羽に見えないように、受け取った紙でこっそりとおしりを拭った。
固かったせいか、ほとんど汚れはついてこなかった。



後始末を終えトイレを出た。
公園の時計を見ると門限が迫っていたので、二人そろって帰路についた。
泣きすぎて、息みすぎて、頭がぼーっとする。栞は夢の中を歩いているような気分だった。
途中、美羽といろいろな事を話した。いつもは話さない、クラスの好きな男子のことまで。
美羽と、今までよりもっと仲良くなれた気がした。

「じゃーね!8月の花火大会も、いっしょに行こうねっ」
あっという間に、美羽の家の前に立っていた。光が漏れる玄関を半開きにして、
ばいばいと手を振っている。

「えっと、あのね、みうちゃん」
今、言わないといけない事がある。こわいけれど、勇気を振り絞った。

「……と、トイレ、かりてもいい?」
「いいよ。また、手伝ってあげよっか?」
「だ、だいじょぶ……」
「それじゃあ、いっトイレー」

廊下を早足で歩き、突きあたりのトイレへ。
やや焦り気味に下着を下ろし、便座に腰かける。
さっき出し切れなかったウンチが、たちまちあふれ出した。

ぷりぷりぷりっ……!

さっきたくさん出したのに、栞のおしりからぶら下がった明るい茶色の棒は
なかなか切れなかった。
公園で出たのが、五日目と四日目の分。
そして、三日目、二日目。今日の分。
ゆっくり数えている間に、便器の池の中に立派なとぐろが生まれていた。

「ふー……」

今度こそおなかが空になった感じがする。
栞は、静かに息を吐いた。
ようやく、憑いていた悪いものが落ち切った気がした。



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あとがき

お盆なので向こう岸から帰って参りました
2016年08月13日 | Comments(2) | スカトロノベル
コメント
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  2016年09月01日 03:41:25 編集
Re: No title
コメントありがとうございます!
ロリコン即銃殺みたいな世の中にならない限りは
細々と続けていきたいと思います(*´ω`*)
牡蠣男 URL 2016年09月01日 23:52:20 編集

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