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初恋

初恋

【投稿日】 :2011/04/11
【カテゴリ】:スカトロ(大) 野外排泄 おもらし 
【あらすじ】:ある男の子の初恋の話

僕に「初恋」がやって来たのは、確か四年生のころだった。
遅いって?
いやいや、「幼稚園の先生が美人だからお嫁さんにしたい」とかはノーカウントで、
もっと真剣に、あの人のことで頭の中に一杯になるくらい好き、っていうレベルの
「恋」は、誰だってある程度大きくなってからじゃないかな。
だから僕が特に遅いってわけじゃない、と思う。

美代ちゃん、という子が同じクラスにいた。
ツーテールが印象的な子だった。背が低くて、
「みよねー、きのう遊園地行ったんだー」みたいなのんびりしたしゃべり方だったから、
本当の学年より子供っぽい感じがした。
それでもクラスの男子には、そこそこ人気があったらしい。
席替えで僕の前の席に来て、向こうからよく話しかけてくるようになった。
その流れで時々いっしょに帰ることもあった。

その日学校を出てからずっと、何か様子が変なのはすぐにわかった。
話しかけても、返事はするけどどこか上の空。
何かに耐えるように唇をぎゅっとひきしめた、辛そうな横顔をしていた。

「どうしよ……ウンチ、したくなっちゃった……」
学校と家のちょうど半分くらい、大通りに出たあたりで、
隣からそんなつぶやきが聞こえてきた。

じゃあ早くトイレいきなよ、とは言えなかった。
毎日毎日通ってる道だからこそ、僕も、そして美代ちゃんも
それが無理な注文であることをよく知っていた。
近くにはトイレを借りられるような場所はどこにもない。
このまま家まで帰るか、学校に引き返すしかない。
距離は同じくらいだけど、この状況で家のトイレよりも汚くて臭くて
誰かに見つかるかもしれない学校のトイレを選ぶのはちょっと正気の沙汰じゃない。
美代ちゃんも迷うことなく、早足でそのまま帰る道を進んだ。

しばらく歩いて、交差点についた。

「ウンチっ、ウンチでちゃうよぉっ」

信号待ちしている間ずっと、美代ちゃんはお尻を押えてぴょんぴょん飛び跳ねていた。
今にもしゃがみこんで漏らしてしまいそうで、
どう考えてもトイレまで間に合うとは思えなかった。
信号が青になって、美代ちゃんは突然走り出した。目の前の橋を渡らずに、
土手を伝って川へ下りていく。
僕も後を追ったけどずいぶん離されてしまって、追いついたときにはもう橋の脚のそばで
パンツを下ろしてしゃがんでいる所だった。

「ううーん」

ぶうっ、と大きなおならが一つ鳴った。
続けて明るい黄土色のウンチがお尻からにゅっと顔を出したと思ったら
ものすごい勢いで伸び、地面に叩きつけられて崩れたとぐろを巻いた。
その上から覆うように二本、三本、と柔らかめのが積み重なる。
あっという間に、美代ちゃんのお尻の下にウンチの山が出来上がっていた。

僕はちょっとしたショックで口がきけなかった。
同じクラスの女の子がウンチするところを見ちゃったっていうのもそうだけど、
僕より一回り小さい美代ちゃんの体から太いのが山盛り出てきて、
なんだか騙されているみたいというか、
例えば冷蔵庫からゾウが出てくる手品を見た気分だった。
そのせいで、美代ちゃんがティッシュでお尻をふいてパンツを上げ、
顔を赤くして「ウンチしちゃったこと、ないしょにしてくれる?」と
聞いてきた時も何もいえなかった。声が出なくて、とりあえず首を縦に振った。

そんなことがあっても、次の日は特に何も変わりなく始まった。
橋の下にでかいウンコがしてある、帰りに見てみようぜ、なんて休み時間に
誰かがしゃべっていて、一瞬だけ前の席の美代ちゃんの背中がびくっとなった。
けど、あんまり受ける話題じゃなかったみたいで、その後はもう聞かなくなった。
美代ちゃんもすっかりいつも通りで、給食のときシチューを三回おかわりした。

昼休みになってすぐ、校庭に遊びに行こうとした美代ちゃんに先生が声をかけた。
そのまま二人で教室を出て行く。美代ちゃんは不思議そうな、
なんで呼ばれたのかわからない、という顔をしていた。
まあそうだろう。日直とか授業当番でもない限り、
先生と一対一で何かするなんてそうそうあることじゃない。
美代ちゃんの友達が、どうしたんだろー、と言い合いながら校庭に出るのを横目に、
僕はいつも通り読みかけの本を机から出して読み始めた。

昼休みが終わって授業の始まる時間になっても、
美代ちゃんも先生も戻ってこなかった。
異変に気付いて教室が騒がしくなる。
先生は僕らにも厳しいけど自分でもきっちりした人で、
今まで授業に遅れたことやお休みしたことなんて一度も無い。
飛び交うまとまりのない会話が、学級委員が職員室に様子を見にいってこいよ、
というような形にまとまりかけたとき、
教室のドアが静かに開いて、先生が入ってきた。
その瞬間、クラスがテレビの電源を切ったようにふいに静かになる。
授業中におしゃべりすればどんな事になるか、みんな身をもって知ってるのだ。

先生は教壇に立って、授業に遅れたことを僕らに謝った後、
吉田さんがみなさんに言いたいことがあるそうです、と言った。
そして、一足遅れて美代ちゃんが入ってきた。明らかに様子がおかしかった。
目を真っ赤にして時々鼻をすすり、まるでついさっきまで泣いていたみたいに見えた。
今は無理やり押さえつけてるだけで、
またちょっとしたきっかけで爆発しそうな感じだった。
美代ちゃんはまっすぐ教壇の前まで歩いてきて、持っていた原稿用紙を開いた。

「反省文、四ねん二くみ、吉田美代」

そしてかすれて歪んだ声で、そこに書いてあることを読み始めた。

「わたしはっ、昨日っ、の下校のときっ、通学路のっ、あさひ橋の下でっ、っく、」
そこで一度、美代ちゃんは読むのをやめた。
しばらく、震える手の中で原稿用紙ががさがさ鳴る音だけがしていた。

「続けなさい」
先生に促されて、一瞬泣き出しそうに唇が曲がって、でもどうにかこらえて、
美代ちゃんは次の言葉をしぼりだした。

「だっ、大便を、して、しまいました……」
クラスのどこかから、小さな笑い声がした。うんこ、のぐそ、という単語が聞こえた。
美代ちゃんの涙が何滴か、原稿用紙の上に落ちた。

先生はクラスのざわめきを抑えると、美代ちゃんのほうを向いた。
「帰り道で歩いている時に、急に大便がしたくなったのですか?」
少し間があって、美代ちゃんは首を横に振った。
「帰りの会の、とき、から」
「なぜ、学校で済ましてから帰らなかったのですか?」
「……だって、だってっ、っく、ひぐっ」
とうとう顔を伏せて泣き出してしまった。
口に出さなくても、おそらくクラス全員がその理由をわかっていた。
学校でウンチしたことがバレれば、そういうので騒ぐのが好きなやつにからかわれたり、
不名誉なあだ名をもらったり、しばらく嫌な気分で学校生活を送らないといけなくなる。
それは女子だって同じだ。個室に入ってるだけでアウトな男子と違うのかと思いきや、
やっぱり音とか臭いとかでわかるんだって、前に姉さんから聞いたことがある。

これ以上反省文を読めないと判断したのか、先生は美代ちゃんに
自分の席に戻るように言った。
そして、僕たち全員に視点を移した。

「皆さんも学校で大便がしたくなったときは、きちんとトイレに行きましょう。
 我慢して帰った挙句道端に大便をするなどという幼稚園の子のようなことは、
(美代ちゃんが大きくしゃくりあげた)
絶対にしないように。では、授業を始めます」

授業が始まってしばらくの間、美代ちゃんは机に突っ伏したまま
声を殺してずっと泣いていた。
そのうちちゃんと授業を聞きなさい、と先生に言われて、
のろのろと体を起こした。顔は深くうつむいたままだった。
僕のところからは表情は見えない。真っ赤にそまった耳だけが見えた。

何事もなかったみたいに授業は進んだ。
黒板が字で一杯になって、先生が消して、また一杯になった。
その間に時計の長い針が半周して、そろそろ今日も一日終わりかぁ、
なんてしみじみ思いながら、僕は先生の横顔を眺めていた。
「このように、向かい合ったひと組の辺が平行な四角形を、台形と――」


プーーゥ!

音が、先生の声をさえぎった。
それは何というか、椅子のきしみとかそういうのとは間違えようも無い、
いかにもな甲高いおならの音だった。誰かが手の甲に口をつけて真似した音を出して、
教室のあちこちでこらえた笑いが起こった。
「だれだよ屁こいたの!」「お前だろ!」「ちげーよ!」
先生を意識して小声ながらも、さっそく犯人探しが始まる。
僕の席の周りの人たちはそれに加わらず、妙な沈黙を保っていた。
なぜって、さっきの音の出所が誰か知っているからだ。
こうはっきりしてしまうと、逆にリアクションに困るところがある。
誰も面と向かって責めるわけにもいかず、ただ静かに、漂う臭いに耐えていた。

「この台形の面積を求めるには、上の平らな面と下の平らな面の長さを――」
先生はこのちょっとした騒ぎを無視して、授業を続けている。
そのうち、みんなのざわめきも溶けるように消えていった。

「ふぅ、ふうぅ」
ちょっと前から椅子の上でもぞもぞしていた美代ちゃんのお尻は、
おならを吐き出してもなお苦しそうに身じろぎしていた。
美代ちゃんが本当に出したいものが、まだ後に控えていることは明らかだった。
さりげなくお腹にまわされた腕やら妙な前かがみの姿勢やらが、
わたしはウンチを我慢しています、と叫んでいるのと同じくらい、
今の状況を主張していた。

「ねぇ、早くトイレ行ってきなよ」
表情が見える隣の席からだと、よけい危機感が強いのかもしれない。
相原さんが美代ちゃんに小声で声をかけた。

グッ、グルルッ……

お腹が悲鳴で返事をした。
美代ちゃん本人は聞こえなかったかのように全く動かない。
気持ちはわかる。
反省文の一件があった後で、授業中トイレに立つなんてできないのだろう。
でも、それなら授業が終わるまで待てるか、というとそんなはずもない。
とうとう美代ちゃんは立ち上がった。
椅子がガタッと大きな音をたてて、クラスのみんなの視線が集まった。

「……イレ、……ってきて……ですか」
言葉になっていない声の切れ端を投げかけられて、
板書していた先生は眉をひそめた顔で振り返った。
「吉田さん、授業中発言するときは挙手してからと言ったでしょう。
それに話すときははっきりと、大きな声で」

ブビジュッ!

はっきりと大きな声を出したのは、美代ちゃんのお尻のほうだった。
クラス中のみんなが、美代ちゃんが先生に何を言いたかったのかを理解した。
と同時に、もうその必要がなくなったことも。
どう考えても、水っぽいのを「やっちゃった」音だった。
さっきのおならとは比べ物にならない濃い臭いが、あたりに飛び散った。

「あ、あ」

ブッ、ブブブブ……
続いてくぐもった音が、ズボンの中から聞こえてきた。
さっきのに比べて激しさはない。
昨日下校中にしたみたいな、柔らかめだけれど形のあるのが出ているのだろう。
生地の張りを押し上げ、お尻の部分が少しずつ膨らんでいく。

「うあ、や、いや」

ギュゴロ、グググウ

お尻の膨張が止まったかな、と思った頃、
美代ちゃんは不気味に鳴り出したお腹を抱えてかがみこんだ。
当然、お尻が僕のほうに突き出される形になって、臭いの波が襲い掛かってくる。
何か嫌な予感がして顔を遠ざけたその時、目の前のお尻が爆発した。

「ううううっ!」
ブビビビビブジュッ!!ボブッ!!ブブブビッ!!

いかにも下痢、という感じのおなら交じりの汚い音が響く。
ウンチが吐き出される勢いで、瞬間的にズボンがさらに膨らんだ。

「はぁ、はぁ」
もう、お腹の中のものを出し切ってしまったのだろう。
大噴火が終わると、美代ちゃんのお尻は嘘のように黙った。
「でちゃっ、た」
美代ちゃんの独り言は静まり返った教室によく伝わって、
ああ、終わったんだな、とみんなは知った。

「吉田がウンコもらしたー!」

遠くで誰かが、今の状況を的確に表して叫んだ。
あまりにも突然の出来事で凍り付いていた空気が、それをきっかけに解凍された。
同時に、大騒ぎが始まった。
きったねー!くせー!と自分の感想を率直にどなるやつ。
それに、やめなよ、かわいそーでしょ!と言い返す女子。
美代ちゃんの近くから離れようと慌しく席を立つ人。大急ぎで窓を開ける窓際の人たち。
ざわめきと物音が好き勝手に飛び交って、収拾がつかなくなりかけた時。

バンッ!!

耳の奥までびりびりくる衝撃で、みんな静かになった。
席を離れようとしていた人たちは、中途半端な格好のまま動くのをやめた。
音の主は予想通り、先生だった。教卓を手の平で思い切り叩いたのだ。
「静かに。授業中ですよ」
あくまで冷静に、冷たすぎるくらいの声で先生は言った。
そして、今必要なことをてきぱきと指示していく。
窓を全て開ける。濡らした雑巾を用意する。席を離れた人は元の席へ。
その後、全てが終わって泣きじゃくっている美代ちゃんを連れて、教室を出て行った。
美代ちゃんのクリーム色のズボンのお尻の部分は、
時間が経って内側から茶色い染みが浮き出てきていた。
席を離れるときに、あふれたウンチのかけらが膝丈の裾から床に落ちて、
周りの何人かが悲鳴をあげた。
その間僕は、机をあんなに強く叩いて、
先生は手が痛くないのかどうかずっと気になっていた。

5分位して、先生は教室に戻ってきた。
そして、吉田さんは腹痛で早退するそうです、と言った。
「先ほど注意したことが、吉田さんには理解してもらえなかったようで残念です」
いつもと同じ、抑揚の無い声。
「好き」の反対は「嫌い」じゃなくて「無関心」なんだ、って
どこかで聞いた気がするけど、先生を見ているとそれがよくわかる。
普段から勉強も運動もいまいちなだけじゃなく、昨日は下校時に決まりを破って、
さらに今日授業を乱した問題児の美代ちゃんのことなんか、
心底どうでもいいって思ってるんだろうな。
美代ちゃんのランドセルに机の中の教科書を詰め、先生は再び扉の向こうへ消えた。

また5分くらいして、先生が帰ってきた後はもういつもと同じだった。
板書。問題。答え。板書。先生の声。そしてチャイム。
ちょっとしたトラブルはあったけれど、今日も一日が終わりを迎えた。

帰りの会が終わってみんなが我先にと教室を出て行っても、
僕は席を立たずに文庫本を広げていた。
最後から二番目の野口さんが教室を出るとき、帰らないの?と聞いてきたので、
そろそろ帰るよ、と言った。
そんな嘘をついて、時計の長針がてっぺんに登るのを、ただじっと待っていた。
四時ジャスト。教室のプランターに水をやるために、必ず先生は教室に戻って来る。
この間珍しく時間を過ぎてもこないなと思っていたら、時計のほうが狂っていた。

そして今日も時間通りに、先生は教室に姿を現した。
授業が終わっても残っている僕を見ても、特にお咎めは無い。
「いつものこと」だからだ。
どうにかそこまで、持ってくることができた。

先生は机の間を縫って、僕の席まで来た。
かすかな香水の匂いが、風に乗ってただよってくる。

「今度は、何を読んでいるの?」
「『緋色の研究』です。長い間貸し出し中だったから、後回しになっちゃって」
「そう」
先生の冷たく見えるくらい整った顔が、ふっとゆるんだ。

「名作ね。私も記憶を消して最初から読み直したいくらい」
先生は推理物が好きだと聞き出したので、
ここ最近はそういう本ばかり図書室から借りている。
おかげ様で、少しは会話が続くようになった。

読書の邪魔になるだろうから、と僕の側を離れ、
先生は窓際のプランターに水をやりだした。
僕も本に目を落とす。ろくに会話も無いし、お互いてんでばらばらのことをしてるけど、
ここは確かに、僕と先生の二人だけの世界だった。とても心地よかった。

でも、本当はわかっている。先生は大人で、僕は子供。なんと年の差十五年。
どんなに頑張っても、僕は先生の隣には行けない。
だからせめて、少しでも近づきたい。
そのためには、その他大勢の子供Aじゃダメなんだ。
先生にとって、特別な生徒にならないと。

「吉田さんのこと、教えてくれてありがとう」
夕日を背にして、先生はこちらを向いた。
すらりと長い脚。つやつやした黒髪。強い意志を感じる目。
やっぱりキレイだ、と思った。
「間違った行いを発見できて、クラスの秩序を保つことが出来た。
 いつもながら、君には感謝しているわ」

そして、先生はにっこりと微笑んだ。
授業中には絶対見せない、僕だけが知っている先生の表情。
胸の奥でちくちくしていた美代ちゃんへの罪悪感とか、
選択の正しさに対する不安とかが、すっと溶けていくのを感じた。

「いえ。学級委員として、当然のことです」
内心のドキドキを抑えて、なんとかクールな感じに聞こえるようにそう答えた。
この笑顔を見るためなら、僕は、何だってやる。
改めて決意を固めて、本を読むふりに戻った。
この幸せな時間がいつまでも終わりませんように、と祈りながら。


===========================================
あとがき

オチが唐突かもしれませんが書いている本人には判断がむずかしいです。
書きおわってみるとスカトロ成分がおまけみたいになってしまったので、
次はもっとねちっこく描写するのを挑戦したいと思います。

2011年04月11日 | Comments(0) | スカトロノベル
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